ユーロ取引の基礎知識と取引のポイント

まずはユーロ(£)の基本情報を知っておこう

ユーロとは、EU(欧州連合)に加盟する27カ国のうち、その約7割に当たる19カ国が公式に導入している共通の通貨です。外国為替市場においては、世界の基軸通貨である米ドルに次いで2番目の流通量を誇っています。

それでは少し歴史を見てみましょう。ユーロが正式に導入されたのは1999年1月1日のことで、当初の参加国はベルギー、ドイツ、スペイン、フランス、アイルランド、フィンランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、オーストリア、ポルトガルの11カ国でした。その後、段階的に加盟国が増え、現在はキプロス、エストニア、ギリシャ、マルタ、スロバキア、スロベニア、リトアニア、ラトビアを加えた19カ国となりました。

なお、残るEU加盟の8カ国も、ユーロを導入する義務を負っています。ただ、加盟のためには財政状況やインフレ率などに関する基準を満たす必要がありますし、国民の過半数が反対している国もあって、2020年9月の時点ではいずれも果たしていません。

ちなみにコソボとモンテネグロはEU未加盟で公式な導入ではないものの、ユーロを自国通貨に採用しています。

ユーロ取引のポイント

ユーロ圏において、財政政策は各国が自ら実施していますが、通貨に密接に関わる金融政策については欧州中央銀行(ECB)が統括して取り仕切っています。金融政策を決定するECBの理事会は、6週間に1度のペースで開催されます。

2020年9月の時点でECBはマイナス金利政策を実施しており、相対的に他国通貨よりも金利が低くなっています。このため、FXの取引でユーロに買いのポジションを建てていると、決済を行うまで投資家がスワップポイントを負担しなければなりません。

相対的に金利の高い通貨であれば、スワップポイントを目当てとする投資家が中長期的に買い建てのポジションを保有することが期待されます。ところが、ユーロは買い建てのポジション保有が長引くほどスワップポイントの負担がかさむので、短期決済が中心となりがちです。

加盟国ごとに経済情勢には違いが見られますが、特に注目されるのはユーロ圏のけん引役であるドイツ経済の推移です。ユーロ圏におけるGDPや失業率、製造業PMI(購買担当者景気指数)、HICP(消費者物価指数)、鉱工業生産指数とともに、ドイツの主要経済指標の発表がユーロの為替相場に大きな影響を及ぼすケースも少なくありません。

注目すべきドイツの経済指標としては、GDPとともにZEW景況感調査指数、ドイツ製造業PMI、ドイツHICP(消費者物価指数)、ドイツIFO景況感指数などが挙げられます。さらに、ユーロに関しては、財政状況が芳しくない国々の動向にも注意が必要です。

実際、2010年頃にはギリシャの国家財政粉飾の発覚を機に、財政難の国々の債務状況が懸念視され、PIGS(ポルトガル・イタリア・ギリシャ・スペイン)などと揶揄する言葉も生まれました。いわゆる「欧州債務危機」で、ドイツのように財政基盤の強固な加盟国も支援のための負担を強いられることを悲観し、為替相場でユーロが売られやすい展開が続きました。

とはいえ、冒頭でも触れたようにユーロには米ドルに次ぐ流通量があることも確かです。こうしたことから、米ドルとの組み合わせであるユーロ/ドルは世界で最も取引量の多い通貨ペアとなっています。

したがって、外国為替市場ではこれら2つの通貨の綱引きが繰り広げられる傾向があります。「ユーロが買われると米ドルが売られる」、「ユーロが売られると米ドルが買われる」という展開になりやすいのです。

また、ユーロ加盟を拒んできた英国はEUからも脱退しており、ユーロ圏とは一線を画すスタンスを取っていることから、ユーロ/英ポンドという通貨ペアに注目する投資家もいるようです。ただ、もともと英ポンドは値動きが荒くなりやすい特性があり、ビギナーや投資経験の浅い人はうかつに手を出さないのが無難でしょう。

ユーロの値動きが大きくなりやすい時間帯とは?

世界最大の取引量を誇るロンドン市場をはじめ、欧州で外国為替取引が盛り上がるのは日本時間で15~21時頃(サマータイム)です。やはり、ユーロをはじめとする欧州の通貨はこの時間帯の売買が最も活況となります。

また、ドイツの経済指標が発表されるのも前述した時間帯になります。その結果を踏まえた投資行動が活発化し、ユーロの値動きも大きくなりがちです。

こうしたことから、ユーロ/円はともかく、ユーロ/ドルをはじめとするユーロクロス(ユーロと日本円以外の外貨との組み合わせ)を取引する場合は欧州市場が開いている時間帯に狙いを定めたほうがいいでしょう。ただし、「ロンドン勢」と呼ばれる投機筋が短期勝負を仕掛けてくることも多く、この時間帯の推移は一過性のトレンドにとどまり、ニューヨーク市場や翌朝の東京市場などにはあまり影響を及ぼさないケースも見受けられます。

経済指標や金融政策の発表など、明確な材料も見つからないのにユーロ相場が大きく動くようなことがあった場合は、投機筋が関与している可能性を念頭に置いたほうがよさそうです。

まとめ

米ドルに次ぐ流通量のユーロは、FXでも投資家に選ばれやすい通貨の一つです。特にユーロ/ドルは世界最大の取引量に達しています。

ユーロが強ければ米ドルが弱含むといったように、両者の関係が明確なこともトレードを仕掛ける際にわかりやすいポイントでしょう。ただ、ドル/円と比べればレートの推移に馴染みがなく、慣れるまではその点が大変かもしれません。