メキシコペソ(MXN)の基礎知識と取引におけるポイントについて解説!

メキシコペソはその名称からも分かるように、メキシコの法定通貨です。相対的に金利水準が高いことから、FXの取引でも人気の高い通貨となっています。その特徴や取引を行う際のポイント、注意点などについて解説しましょう。

まずは知っておきたい! メキシコペソの基本情報とその魅力

メキシコはスペイン語圏において最も多くの人口を有する国で、中南米の国々ではブラジルに次いで第2位のGDP(国内総生産)を誇っています。同国で用いられている通貨がメキシコペソで、その略称(記号)はMXNです。

ちなみに、補助通貨単位はセンタボ(Centavo)で米ドルのセントに相当し、1メキシコペソ(MXN)=100センタボ(Centavo)という関係になっています。メキシコに限らず、スペインの旧植民地であった国々ではもっぱらペソという通貨単位が用いられています。

メキシコは1821年にスペインより独立を果たしましたが、その後も長くスペインの通貨が用いられてきました。1863年にセンタボ硬貨、1866年にスペインペソ硬貨の発行が始まって、今日の通貨体制に移行しています。

1994年12月にメキシコペソは、「テキーラ危機(メキシコ通貨危機)」と呼ばれる大暴落に見舞われています。当時のメキシコは国内資金の国外流出を防ぐために、金利を高めに誘導していました。

さらに、1993年に北米自由貿易協定(NAFTA)が成立(発効は1994年)し、海外からの投資も増加。メキシコヘの資金流入が活発化し、結果的にメキシコペソが実体経済などとかけ離れた水準まで買われる展開となっていました。

しかし、1994年3月に同国の大統領候補が暗殺されたり、先住民による武装反乱が勃発したりするなど政情不安定が表面化。加えて、景気回復に伴って米国の金利が上昇したことから、メキシコヘの資金流入が急減し、メキシコペソ売りが加速しました。

こうした事態を受けて、メキシコは国内の金利を引き上げるとともに、1994年12月に変動相場制へ移行。それでも売り圧力は抑えられず、メキシコ国債がデフォルト(債務不履行)寸前にまで陥ったことから、IMF(国際通貨基金)や米国が支援に乗り出し、どうにか危機を回避できました。

FXの取引におけるメキシコペソの魅力は、高いスワップポイントを期待できることにあります。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気の悪化を踏まえて世界的に金融緩和が進められているものの、メキシコの政策金利は他国と比べて相対的に高いからです。

特に超低金利通貨の日本円を売って高金利通貨のメキシコペソを買うという取引は、スワップポイントに着目するトレーダーの間で高い人気を博しています。しかも、2017年以降のメキシコペソ/円相場は4円台〜6円台の範囲内で推移しており、他の通貨ペアと比べてかなり少額の資金から取引が可能です。

メキシコペソの取引で注意すべきポイントとは?

スワップポイントに期待して取引するトレーダーが多いことから、メキシコペソは中長期の投資スタンスが中心となってきますが、いわゆる新興国通貨に該当するので、特有のカントリーリスクには注意すべきです。

カントリーリスクとは、その国(地域)の政治経済の動向が外国為替をはじめとする金融市場に大きな影響を及ぼすことです。先述したように、メキシコペソは「テキーラ危機(メキシコ通貨危機)」で大暴落したことがあります。

こうしたカントリーリスクが高まった局面に限らず、そもそもメキシコペソはボラティリティが高い(値動きが荒い)通貨であることにも留意したほうがいいでしょう。為替レートの変動次第では、得られたスワップポイントを上回る為替差損を被る恐れもあります。

また、意外と知られていませんが、メキシコは石油生産量で世界15位内に入る原油産出国です。そのため、メキシコペソと原油価格の推移は高い相関性を示しています。

外交面においても不安を抱えており、選挙前から「メキシコとの国境沿いに壁を建設する」と宣言していたトランプ氏が2016年11月に大統領に選ばれた際には、関係悪化を悲観してメキシコペソが売られました。その後、米国・カナダ・メキシコ間の新たな貿易協定であるUSMCA(発効は2020年7月)が結ばれることを好感して持ち直したものの、新型コロナウイルスの感染拡大で世界的にリスク資産から資金を回収する動きが顕在化し、足元でもメキシコペソは弱含んでいます。

今後の推移においても、やはり隣国である米国との関係や、新型コロナウイルスの世界的な感染状況が大きな影響を及ぼしそうです。メキシコも金融緩和を進めており、それでも経済の悪化が止まらずいっそうの利下げを迫られることになれば、メキシコペソが弱含む可能性が考えられます。

メキシコペソの値動きが大きくなりやすい時間帯

外国為替市場は地球の自転とともにリレー方式で各国の市場がオープンしていき、「オセアニア→日本を含めたアジア→欧州→米国」といった順番で、平日は24時間にわたって取引が続いています。ただ、折々で特に活発な取引が繰り広げられるのは、やはりそのエリアに身近な通貨となりがちです。

当然ながら、取引が活発化するほど為替レートも変動しやすくなります。メキシコペソの場合は、隣国である米国のニューヨーク市場がオープンしている時間帯(ウインタータイム中は日本時間の22〜7時、サマータイム中は21〜6時)となってきますが、もっぱらそれはメキシコペソ/米ドル相場に言えることでしょう。

スワップポイント目当てでメキシコペソ/円に投資するのは日本のトレーダーが中心と目され、その取引が活発化しやすいのは東京市場がオープンしている時間帯です。日足だけに限定せず、日中足の為替チャートの値動きもよく観察し、盛んに取引が行われている局面を見極めたうえでエントリーを行うのが無難です。

そして、スワップポイントに主眼を置いて投資する場合にも、今後のメキシコペソ/円相場は自分なりに予想し、メキシコペソ安が進んだタイミングを見計らうのが定石でしょう。うっかりメキシコペソが割高な局面で手を出してしまうと、為替差損が発生するリスクが高くなります。

まとめ

相対的に高いスワップポイントを期待でき、他の通貨ペアと比べて少額から投資が可能なメキシコペソは、FXのトレーダーの間で高い人気を誇っています。値動きが大きくなりがちという点では、為替差益狙いの取引にも適していると言えそうです。

その反面、新型コロナウイルスの感染拡大(それに伴う景気の悪化を悲観した原油安)などが為替レートの推移にも影響を及ぼしやすいことには注意が必要でしょう。スワップポイントばかりに目を奪われず、情勢を慎重に見定めたうえで取引するのが賢明です。