為替相場の見通しと予想ポイントとは?

外国為替相場の変動には、実に様々な要因が関わっています。世の中のどういった動きを観察していれば、今後の推移に関して自分なりの見通しを立てられるのでしょうか? 相場を予想する際のポイントについて説明します。

為替相場の仕組みと予想ポイントとは?

取引所において集中的に売買が行われている株式などとは違い、外国為替は売り手と買い手が情報端末や電話を通じて個別に取引を行っています。売り手と買い手が1対1で取引価格や数量などの条件を交渉し、お互いに合意すれば決済(精算)に至るという「相対取引」の手法が用いられているのです。

東京外国為替市場、ニューヨーク外国為替市場、ロンドン外国為替市場などといった呼び方をしていますが、それぞれの場所に取引所が設けられているわけでありません。便宜上、それぞれの国々の取引の中心地である都市名を呼称につけているだけです。

そして、外国為替市場は銀行同士で取引が行われている「インターバンク市場」と、銀行と企業や個人などとの間で取引が行われている「対顧客市場」の2つに分かれています。ニュースなどで報道されているのは、「インターバンク市場」における外国為替レートの推移であるケースが主流です。

では、銀行や企業、個人は何のために外国為替の取引を行っているのでしょうか? それぞれの目的は、実需と投資に大別できます。

実需については、貿易(主に企業の輸出入)や個人の海外旅行などを一例として挙げられます。日本から米国への輸出が大幅に増えれば、その代金を支払うために米ドルを円に交換する需要も拡大し、円高を誘発する可能性が出てきます。

また、日本を訪れる米国からの旅行者が著しく増えれば、同じように米ドルを円に交換する需要も拡大し、円高を招く要因の一つとなりえます。逆に米国から日本への輸入が大きく増えたり、日本から渡米する旅行者が急増したりすると、円安要因として作用することが考えられます。

しかしながら、外国為替相場に大きな影響を及ぼしがちなのは、もっぱら投資目的の動きです。たとえば、米国のほうが日本よりも金利が高かったり、株価の上昇が見込まれたりすれば、同国へと投資資金が流入しやすくなります。

日本の投資家の間でもそういった行動が活発化すれば、日本円が売られて米ドルが買われることになり、為替相場で円安が進行する可能性が考えられます。また、金利や株価の情勢を踏まえて、前述したような動きが顕著になると予想した投資家が円安の進行を期待して外国為替市場で資金を投じることも考えられるでしょう。

したがって、外国為替市場は金利や株価の推移の影響も受けやすいということです。さらに言えば、株価は景気と密接な関係にあります。

米国の景気が好調なら、株価の上昇を期待して海外から資金が流入し、株高とともに米ドル高も進行するケースも出てきます。景気の動向を把握するうえでのモノサシとなるのが経済指標で、その中でも米国の雇用情勢を示す「雇用統計」は特に外国為替市場で注視されているものです。

「雇用統計」は原則として、毎月第一金曜日に発表されます。その数値が事前予想を上回ると米国経済に対して強気の見方が大勢を占めて米ドル高が進み、下回ると弱気が対応して米ドル安となる傾向がうかがえます。

金利に影響を及ぼす金融政策の動向も外国為替市場の大きな関心事です。各国の中央銀行は景気の悪化や物価の下落が予測される局面では金融緩和を実施し、それに伴って金利が低下します。反対に景気の過熱や物価の上昇がうかがえると金融引き締めを実施し、金利は上昇基調を示します。

ただ、金利が上昇するとその国の通貨が買われやすくなるものの、新興国などでは必ずしもそのような動きにつながらないケースが見受けられます。物価の上昇が深刻で、それを抑えるために高金利政策を続けていることが多いからです。

物価の上昇が顕著になると、モノの価値が上昇して通貨の価値が下がることになります。こうしたことから、物価上昇率の推移を悲観して高金利新興国の通貨が外国為替市場で売られることがあるのです。

他にも、外国為替相場は地域紛争やテロ事件、自然災害などの発生にも反応するケースが見られます。そういったアクシデントが経済に悪影響を及ぼすことを懸念されるからです。

今後の為替相場の見通し

経済に悪影響を及ぼすアクシデントと言えば、新型コロナウイルスのことを思い浮かべた人も多いのではないでしょうか? グローバルに感染が拡大し始めたのを受けて各国の株式市場は急落し、主要国がロックダウンを実施して経済活動が著しく制限されました。

景気の急激な悪化を懸念し、米国のFRB(連邦準備制度理事会)をはじめとする主要国の中央銀行は異例の規模の金融緩和を実施。それまで段階的に金利を引き上げてきた米国が一変して緩和に舵を切ってゼロ金利を導入したことは特にセンセーショナルでした。

米国の金利低下や新型コロナがもたらす景気の悪化を悲観してか、外国為替市場では米ドル安・円高が進行。2020年1月下旬までは1米ドル=110円台の水準にありましたが、3月12日には一時103円台に達しました。

また、2020年9月中旬にFRBは、「国内経済を下支えするために、ゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続する」との方針を公表。すると、外国為替相場は米ドル安・円高基調を示しました。

依然として新型コロナの感染が収束しない中、世界各国は慎重な姿勢で経済活動の再開を進めています。今後の外国為替相場については、やはり世界経済の回復ピッチや主要国の金融政策が大きな影響を及ぼしそうです。

したがって、米国の「雇用統計」をはじめとする主要な経済指標や、新型コロナの感染状況、主要国の金融政策の方針などを注意深くウォッチし続けることが重要でしょう。

AIが為替相場の先行きを予想? ホントに信用できるの?

様々な要因が絡んでくるため、プロでも正確に先読みするのが難しい外国為替相場ですが、AI(人工知能)が予想するサービスが登場しています。膨大な過去の相場推移記録(ビッグデータ)に基づき、コンピュータ自らが学習して学んでいくというディープラーニング(深層学習)で分析の精度を高めたAIが数時間後〜数日後の為替相場の先行きを判定するというものです。

「画像認識技術」も用いられ、現状の相場の推移が過去におけるチャートでよく似たパターンを描いた地点を抽出するような分析も行われているとか。テクニカル分析に長けた人が自らの経験則に基づいて過去の推移を参考にするようなテクニックをAIがたやすくこなしているわけです。

サービスの提供側によれば、その的中率は70%に達しているとのこと。かなりの高さを誇っていますが、裏を返せば、3割は外れていることも意味しています。

やはり、全幅の信頼を寄せるのは難しいと言えるでしょう。識者の見解に目を向けるのと同じように、あくまで参考の一つとしてAIの予想もチェックし、そのうえで自分なりの予想をきちんと立てるのが望ましいでしょう。

まとめ

月並みな言葉とはいえ、「投資は自己責任」が原則です。これまで説明したように外国為替相場は様々な要因によって変動しており、今後の展開を予測するのが難しい局面もしばしば訪れます。

しかしながら、識者やAIの予測を鵜呑みにして損失が出た場合、後悔の思いがより強くなりがちです。自分の判断で投資するからこそ、予想が的中した場合の喜びが大きくなり、失敗した場合の諦めもつくものです。