FXのスワップポイントだけで本当に生活できるのか?

スワップポイントとは、金利が低いほうの通貨を売り、金利が高いほうの通貨を買った場合に、そのポジションを決済するまで日々得られる利益です。金利差が大きい通貨ペアに投資すれば、より高額のスワップポイントを期待できます。

FXでは1日当たりどの程度のスワップポイントを期待できるの?

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、世界中で経済活動がマヒ状態に陥ったことは周知の通りです。こうした事態を受けて主要国の中央銀行は、景気の悪化を食い止めるために相次いで金融緩和を実施しました。

金融緩和の具体策の一つには、金利の引き下げがあります。2020年11月の時点で米国が0.00〜0.25%、ユーロ圏が0.00%、英国が0.10%、カナダが0.25%、オーストラリアが0.10%といったように、主要先進国の政策金利は歴史的に見ても極めて低い水準まで低下しています。

コロナ禍以前から金融緩和を続けてきた日本に至っては、政策金利が−0.10%にまで達しています。これに対し、概して新興国の政策金利も低下傾向を示しているものの、相対的に高い水準を維持しているところも存在しています。具体例を挙げれば、南アフリカが3.50%、トルコが15.00%、中国が4.05%、メキシコが4.25%となっています。

こうしたことから、あるFX会社で2020年11月下旬に南アフリカランド/円の買いポジションを建てると、1日につき1万通貨当たり6.5円が得られました。トルコリラ/円の買いでは1日につき1万通貨当たり25円、人民元/円の買いでは1日につき1万通貨当たり7円、メキシコペソ/円の買いでは1日につき1万通貨当たり5.1円です。

ちなみに、同じ日に豪ドル/円の買いで得られたスワップポイントは、1万通貨当たり1円でした。最もスワップポイントが高かったトルコリラ/円とは1日につき24円もの差があったことになります。

一方で、米ドル/円

FXのスワップポイントで本当に生活できる?

2020年11月下旬の時点でトルコリラ/円は1トルコリラ=13円程度だったので、レバレッジ1倍で1万通貨を買うと13万円の資金が必要になりますが、同額の証拠金を預けて25倍のレバレッジを効かせると25万通貨を取引できます。その投資では、1日につき625円のスワップポイントが得られた計算になります。

同じ時期のメキシコペソ/円のレートは1メキシコペソ=5.2円程度でしたから、レバレッジ1倍で1万通貨を買っても5万2,000円程度の資金投入で済みました。同額の証拠金で25倍のレバレッジを効かせると、こちらも25万通貨を取引でき、1日につき127.5円のスワップポイントが得られた計算になります。

メキシコペソ/円の場合、証拠金を2倍に増やして10万4,000円を投じ、25倍のレバレッジを効かせると50万通貨の取引が可能で、スワップポイントも1日につき255円に倍増します。証拠金を4倍に増やして20万8,000円にすれば、25倍のレバレッジで1日510円が得られ、先程のトルコリラ/円のケースと同様にワンコインのランチ代程度の利益が期待できそうです。

もちろん、スワップポイントは金利情勢以外の影響も受けて日々変動するもので、ここまで紹介してきた資産はかなり単純すぎるものです。しかも、25倍ものレバレッジを効かせていると為替差損が発生した場合のダメージも大きくなってしまいます。

とはいえ、先程のシミュレーションよりも1ケタ多い資金を投じ、3倍程度のレバレッジにとどめておけば、スワップポイントだけで生活費をまかなうのはけっして不可能でなさそうです。たとえば、メキシコペソ/円に1,000万通貨の買いを入れるには、レバレッジ3倍のケースで「5.2円×1,000万通貨÷3=約1,740万円」の証拠金が必要ですが、仮に先述したスワップポイントが変化しなかったとしたら、1日につき5,100円、1カ月(30日)当たり15万3,000円のお金が入ってくる計算になります。

同じように、南アフリカやトルコリラ、人民元といった高金利国の通貨と日本円のペアにおいても、かなりまとまった資金を投じて低レバレッジで運用すれば、スワップポイントだけで生活することは可能だと言えそうです。

スワップポイントだけで生活するメリットとは?

スワップポイントは、金利が低いほうの通貨を売って金利が高いほうの通貨を買っておけば、そのポジションを決済するまで自動的に入ってくる利益で、いわゆる“不労所得”です。

自分自身で額に汗して働かなくても収入をまかなえることこそ、スワップポイント生活の一番のメリットだと言えるでしょう。同じように株式の配当や株主優待だけで生活している人もいますが、こちらは半年に1回や年に1回といったペースでしか受け取ることができず、週末を除けば毎日入ってくるスワップポイントのほうがより魅力的だと言えるでしょう。

もしもあなたが専業トレーダーではなく、本業の傍らでFXの取引を行っているなら、スワップポイントで生活費が浮いた分だけ、投資余力がアップすることにもなりそうです。そうなれば、さらに多くのスワップポイントを獲得できるように、投入する資金を増額することも可能です。

スワップポイント生活を送るための戦略と注意点

まとまった資金を投じる余裕があるなら、スワップポイント生活を送ることが不可能でないことは、先述のシミュレーションでも検証した通りです。ただ、そのうえでは注意しておきたいポイントが3つ存在しています。

先程も少し触れたように、1つ目はスワップポイントが変動することです。金融政策が見直されて利下げが実施されたり、投資している通貨ペアの為替レートが急変したりすると、スワップポイントが大幅に減少しうるのです。

しかも、為替レートが急変すると大きな為替差損が発生する可能性もあります。ただ、3倍のレバレッジにとどめておけば、為替レートがそれまでの3分の1に変動しない限り、ロスカット(強制決済)が執行される恐れはなさそうです。

ただ、新興国通貨はそもそも値動きが激しいうえ、アジア通貨危機のような異常な通貨安が発生する可能性も否定できません。これが注意点の2つ目です。通貨価値の急落は起こりうることを念頭に置き、その際にはあえて買い増しを行うという戦略を練っておくのも一考でしょう。

急落時に買い増しを実行するための資金をあらかじめプールしておくのです。そして、安くなったところでこまめに買い増しを進めていけば、相場が反転して通貨高に動いた局面で為替差益も期待できます。

3つ目の注意点は、生活費に充てられるだけのスワップポイントを得るために、長くまとまった資金を動かせなくなってしまうことです。これは、スワップポイント生活におけるデメリットとも言えるでしょう。

そういった点を踏まえれば、為替差益が得られそうな局面では、一部のポジションを決済して利益を確定するのも一手かもしれません。決済してしまった分だけ得られるスワップポイントは減ってしまいますが、得られた為替差益で補填できますし、新たな投資に充てる資金も確保できます。

まとめ

スワップポイントとは、金利が低いほうの通貨を売って金利が高いほうの通貨を買った場合に日々得られる“不労所得”です。低倍率のレバレッジでまとまった資金を投じておけば、リスクを抑えながらスワップポイントだけで生活することも不可能ではありません。

ただ、スワップポイント自体や為替レートの変動には注意が必要ですし、為替差益のことも念頭に置いて、できるだけ安い局面で買いを入れることが大切です。