ピボット(Pivot)とはどんな指標? その活用法についてわかりやすく解説!

ピボット(Pivot)はテクニカル指標の一種で、「リアクション・トレンド・システム」とも呼ばれています。その概要やメリット、活用法について、わかりやすく解説します。

FXの取引に用いるピボットはどんなテクニカル指標?

本来、ピボットは「回転軸」を意味し、ビジネス用語としては企業経営における「方向転換」や「路線変更」と解釈されています。これに対し、FXの取引におけるピボットはテクニカル指標の一種で、米国のJ・W・ワイルダーによって考案されました。

彼はテクニカル分析の権威で、RSI(相対力指数)やDMI(方向性指数)の開発者としても知られています。本来、ピボットはなかなか方向感の定まらないもみ合い(横ばい)相場で効力を発揮するテクニカル指標と位置づけられていますが、相場が急騰・急落した局面でもトレンドの転換を把握できます。

ピボットは、①ピボットポイント(PP)、②レジスタンスライン1(R1)、③サポートライン1(S1)、④レジスタンスライン2(R2)、⑤サポートライン2(S2)、⑥レジスタンスライン3(R3)、⑦サポートライン3(S3)という7本のラインで構成されています。①ピボットポイント(PP)は前日の終値、高値、安値の平均値で、その計算式は「(前日終値+前日高値+前日安値)÷3」となります。

そして、②レジスタンスライン1(R1)の計算式は「PP+(PP-前日安値)」で、③サポートライン1(S1)は「PP-(前日高値-PP)」です。②と③は、前日と同じ値幅の変動が生じた場合に達する水準を意味しています。

続いて、④レジスタンスライン2(R2)は「PP+(前日高値-前日安値)」で、⑤サポートライン2(S2)は「PP-(前日高値-前日安値)」となります。これらは、②R1や③S1を突破した場合に、次に到達しうる水準と位置づけられます。

残る⑥レジスタンスライン3(R3)の計算式は「R1+(前日高値-前日安値)」で、⑦サポートライン3(S3)は「S1-(前日高値-前日安値)」です。計算式を見比べてみるとわかるように、④R2と⑤S2ではPPだった起点が②R1と③S1になっており、かなりの値動きが生じた場合にはこのラインの水準まで達する可能性があることを示唆しています。

FXの取引におけるピボット活用法の基本とは?

先に述べたように、⑥R3や⑦S3の水準まで及ぶ動きにはかなりのエネルギーが伴っており、強いトレンドが発生している可能性が考えられます。つまり、さらに突き抜けた動きを示す展開が想定され、⑥R3の水準はハイブレイクアウトポイント(HBOP)、⑦S3の水準はローブレイクアウトポイント(LBOP)とも呼ばれています。

ここまでの話を整理すると、①PPは前日の平均値である基準値です。②R1と③S1は前日と同じ値動きだった場合に達しうる水準、④R2と⑤S2は前日を上回る値動きだった場合に達しうる水準、⑥R3と⑦S3はもみ合いからトレンドが転換する可能性を秘めた値動きだった場合に達しうる水準を示しています。

したがって、為替レートが⑥R3と⑦S3の間で上下動を繰り返している間は横ばい相場が続いていると判断するのがピボットの使い方の基本です。そして、③S1や⑤S2のサポートライン付近で買い、②R1や④R2のレジスタンスライン付近で売りを判断するという手法で相場を攻略することになります。

⑥R3や⑦S3や突破した場合は、トレンド転換のシグナルと捉えます。⑥R3を上抜ければ上昇トレンドに移行したと判断して買いを入れ、⑦S3を割り込んだら下降トレンドに移行したと判断して売りを入れるのが基本です。

さらに、ピボットではサポートラインとレジスタンスラインのレンジ(幅)の伸縮もトレンド転換の判断材料に用います。レンジが狭くなってくると、新たなトレンドが発生する可能性が高まっていると推察するのです。

他の指標も活用しながら予測の精度を高めよう!

直前の値動きをもとにその後の展開を見定めていくピボットですが、この指標だけを頼りに売買を判断してしまうのは乱暴でしょう。そのことはピボットだけに限った話ではなく、あらゆるテクニカル指標に通ずることです。

ピボットはマニアックな指標という側面もあり、その存在さえ知らないトレーダーも少なくなさそうです。言い換えれば、ピポットにおけるサポートラインとレジスタンスラインの水準をあまり意識していないトレーダーも多いということです。

そのような点を踏まえると、ピボットを分析に使う際にはポピュラーなテクニカル指標も併用するのが無難だと言えるでしょう。その代表例として挙げられるのが移動平均線(Moving Average=MA)やトレンドラインです。

移動平均線は一定期間ごとに為替レートの平均値を算出してその推移を線描したもので、その向きや2本のライン(長期的な平均値の推移を示す線と短期的な平均値の推移を示す線)の関係から相場の方向性やトレンドの転換点などを探ります。一方、隣接する高値同士、安値同士を直線で結んだのがトレンドラインで、多くのトレーダーたちが前者をレジスタンスライン(上値抵抗線)、後者をサポートライン(下値支持線)として強く意識しています。

FXの取引における活用法と、注意すべきポイントとは?

直前の値動きをもとに目の前の展開を予測するというのがそのコンセプトなので、ピボットはデイトレードやスキャルピングのような超短期売買に適したテクニカル指標だと言えそうです。活用法の一例として挙げられるのは、横ばい相場が続いている局面でS1やS2の水準で買い、R1やR2の水準で売りを入れるという逆張りの戦略です。

ただし、為替レートがS2やR2の水準をあっさり突破してS3やR3に接近していった場合は、トレンド転換の可能性が高まってきます。その場合はむやみに粘らず、損切り(損失拡大を防ぐ見切り決済)を行ったほうが無難です。

そのうえで、S3やR3に突破したらトレンドが転換したシグナルと判断できるので、今度は順張り(トレンドフォロー)の戦略に切り替えてエントリーポイントだと捉えます。失速して再びS3とR3のレンジ内に戻った場合は、トレンドの転換には至らなかったと判断し、損切りを実行します。

先述したようにピボットの起点となるPPは、前日の終値、高値、安値をもとに算出しています。そして、翌日にはその前日における終値、高値、安値から算出されるので、まったく別のものとなっています。

ピボットから推察できるのは、あくまでその日における上下のレンジの目安にすぎません。翌日になるとリセットされた状態で、新たな目安が算定されることになるのです。

また、ピボットの有効性については賛否両論があり、それだけではなかなか相場に勝てないという声も聞かれます。もっと予測の精度を高めたフィボナッチピボットを重視しているというトレーダーもいますが、スタンダードなピボットのほうが有効だという正反対の意見もあります。

フィボナッチピボットとは、ピボットにフィボナッチ数列を用いたテクニカル分析手法です。フィボナッチ数列とは、中世イタリアの数学者であるレオナルド・フィボナッチが発見したもので、前の2つの数を加えると次の数になるという数字の並びです。

フィボナッチ数列のそれぞれの数を1つ前の数で割ると、この世の中で最もバランスが美しいと位置づけられている「黄金比(1:1.618)」になります。この比率をピボットに組み込んだのがフィボナッチピボットです。

ピボットと同じく、サポートラインやレジスタンスラインへの接近したタイミングで逆張りを仕掛ける指標として活用されるケースが一般的です。また、トレンド転換のシグナルが点灯したら順張りに戦略を切り替える点も共通しています。

まとめ

ピボットは前日の平均値(PP)を起点に、7本のラインを描いてその日の高値や安値の目安を想定するというテクニカル指標です。デイトレードやスキャルピングのような超短期売買に有効だと言われていますが、他のテクニカル指標を併用しながら総合的に判断するのが堅実でしょう。