FXの取引でAIの予想は信頼できるのか? AI活用の最前線について解説!

FXの取引にAIがなぜ関係してくるのか?

AI(Artificial Intelligence)は「人工知能」と訳され、知的な行動をコンピュータに代行される一連の技術を意味します。ここ数年のうちに様々な分野でAI が活用されるようになっており、FXの世界もその例外ではありません。

実はAIの歴史は意外と古く、その第一次ブームは、1950年代後半~1960年代に訪れました。技術の発達とともにコンピュータによる「推論」が可能となり始め、1956年に開催されたダートマス会議で、初めてAIという言葉が用いられました。

第二次ブームは1980年代で、まだインターネットが普及する前のことです。ただ、当時の技術ではコンピュータが理解できる記述方式にデータを加工する必要があったことが壁となって立ちはだかりました。

そして、2000年代から現在に至っているのが第三次ブームです。人間が与えた定義に基づき、人力では処理しきれない規模のビッグデータをAIが解析して傾向や特徴を明らかにし、法則性を突き止めるという「機械学習」が可能となりました。さらに近年は、反復学習を行う中でコンピュータ自らが新たな定義を導き出し、それに基づいて解析を行っていくという「ディープラーニング(深層学習)」の技術も進化を遂げてきています。

そもそも金融は、統計学的なアプローチとの親和性が非常に高い分野でした。過去の相場の経済指標、金利などの推移を示した膨大なデータを蓄積・分析して、投資行動の判断材料としてきたのです。ただ、「機械学習」のプロセスまでは人間が主導しながら、言わばコンピュータにトレーニングを行ってきました。

しかし、「ディープラーニング」が完成形に近づいていけば、AI(人工知能)が新たな学びをもとに、人間ではまったく思いつかなかったような発想で相場の法則性を解き明かすことが期待されます。そう遠くない未来には、外国為替市場をはじめとする相場の予測はすべてAIに委ねているという時代がやってくるかもしれません。

FXの取引におけるAI予想の課題とは?

AIはインプットされているデータと定義をもとに、過去の酷似した展開と照らし合わせて目の前で採るべき売買行動を選択します。そして、その際に「過去の局面とどこまで似ていたのか」について自己評価し、必要に応じて修正を加えていくという「最適化」が繰り返されていきます。

こうした行動を繰り返していくことで、AIがFXの学習を深め、予想の精度が高まっていくわけです。AIの強みは、一度に多岐に渡る情報を把握し、瞬く間に総合的な判断を下せることにあります。

いくらパソコンのモニターを並べても、人間が一度にチェックできる情報には限りがありますし、意思決定の速さでもコンピュータには太刀打ちできません。特にスキャルピングのように瞬時の対応が求められるトレードにおいては、AIによる判断のほうが圧倒的に有利になる可能性を秘めています。

しかしながら、「可能性を秘めている」との言及にとどめたように、まだAIの予想に対して全幅の信頼を寄せるのは難しいというのが実情です。その学習はあくまで過去のデータに基づいてのもので、未知の出来事への対応が苦手だからです。

古くは、1998年に発生したロシア財政危機でもそのことが露呈しています。当時、ノーベル経済学賞受賞者などが関与した自動売買を駆使し、LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)というヘッジファンドが驚異的な運用実績を上げていました。

ところが、ロシアの財政危機が発生し、高度な金融工学を用いていたにもかかわらず、LTCMの売買システムはその状況を正確に認識できず、巨額な損失が発生して同ファンドは破綻してしまいました。その後も2008年9月のリーマンショック時や、2016年の米国大統領選挙直後、2016年6月のブレグジット(英国の欧州連合離脱)を巡る国民投票直後、さらに2020年のコロナショック時など、意表を突くような出来事が起きて相場が急変動した局面で、現状のAIは翻弄されがちです。

FX取引でAIをどう活かすべき??

歴史的な相場の急変は苦手だという弱点があるものの、すでにAIをFXの取引に活用するサービスは続々と登場しています。

たとえば、みんなのFXの「テキストマイニングAI」はRefinitiv社(旧トムソンロイター社)のテキストマイニング技術および心理スコアリング技術を活用し、為替関連のニュースを「機械学習」によって解析して相場の動向を予測。SBIFXトレードの「AIチャット」には「ディープラーニング」機能が搭載されており、主要4通貨(ドル/円・ユーロ/円・ポンド/円・ユーロ/ドル)のテクニカル分析に基づく今後の動きを予想してくれます。

さらに、インヴァスト証券のトレード「マイメイト」はAIがFXの売買シグナル配信を行うサービスで、2020年秋に自動売買機能を搭載して正式にリリース。マネックス証券とHEROZ社が共同開発した「トレードカルテFX」は、AIが顧客の取引状況を分析し、トレーディング技術の向上につながるアドバイスを行うというツールです。

予測の精度などに関して高い数値を出しているものもありますが、完全にAI任せにするのは考えもので、あくまで判断材料の一つとして捉えるのが無難でしょう。AIによる自動売買についても、相場の展開次第ではパフォーマンスに変調をきたすようなことも想定されますから、過信しないできちんとモニタリングを行うのが賢明です。

まとめ

データの処理量と処理速度においてAIが人間を圧倒しているのは、誰もが容易に想像できることでしょう。しかも、AIが自らどんどん学んで新たな発見を積み重ねていくようになれば、予測の精度は向上の一途を辿っていくはずです。

だからといってAIがこれから数年のうちに全知全能の域まで達するのは現実的に困難でしょう。あくまでAIによる予測は参考意見にとどめて、最終的には自分自身で判断を行うのが本筋だと言えそうです。