必ず知っておきたい「ダウ理論」の使い方をわかりやすく解説!

古典的なテクカル手法で、今なお世界中の投資家から根強い支持を獲得しているのが「ダウ理論」です。どのような論理に基づいたもので、どういった使い方ができるのかについて、徹底的にわかりやすく解説します。

「ダウ理論」の基本原則とは?

「ダウ理論」とは、19世紀に米国で金融ジャーナリストや証券アナリストとして活躍したチャールズ・ダウ氏が確立したものです。1882年にダウ氏は、エドワード・ジョーンズ氏、チャールズ・バーグストレッサー氏とともにウォール街で会社を興し、近隣の市場関係者に手書きの瓦版のようなメディアの配布を始めています。

彼らが興した会社こそダウ・ジョーンズ社で、それから7年後にウォールストリート・ジャーナル紙が創刊されることになります。そして、1896年からダウ・ジョーンズ工業平均株価という株価指数が同紙に掲載され始めました。

ダウ氏が死去した後の1928年、同指数は今日の世まで算出が続けられているダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価となります。いわゆるニューヨーク・ダウです。

ダウ氏は金融ジャーナリストとしてだけでなく、テクニカル分析のパイオニアとしても名を馳せた人物でした。彼が考案した「ダウ理論」は、6つの基本原則によって成り立っています。

列挙すると、①価格(平均株価)はすべての事象を織り込む、②トレンドは短期・中期・長期の3つに分類される、③主要なトレンドは3つのプロセスに分類される、④価格は相互に確認されなければならない、⑤トレンドは出来高でも確認されなければならない、⑥トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する−−といった6つです。それぞれについて、もう少し詳しく説明していきましょう。

「ダウ理論」の基本原則は何を意味しているのか?

①の「価格(平均株価)はすべての事象を織り込む」については、政治経済の情勢や金融政策、個別企業の業績などといったファンダメンタルズ関連の情報がすべて反映されて現状の株価が形成されているという見解です。言い換えれば、ファンダメンタルズはすでに株価に織り込まれているので、先々の展開を予想できるのは、価格の推移のみに注目するテクニカル分析であるという主張でもあります。

②の「トレンドは短期・中期・長期の3つの種類に分類される」とは単純明快で、つねに相場においては時間軸の異なる3つのトレンドが生じているというものです。たとえば長期的に下降トレンドを形成している局面下でも、中期的な視点で観察するとその中に横ばいトレンドや、もっと短期的な視点で凝視すると上昇トレンドが存在しがちです。

そして、1つのトレンドは先行期、追随期、利食い期というプロセスを経て形成されていくというのが③の「主要なトレンドは3つのプロセスに分類される」です。簡単に言えば、早耳の人たちがいち早く動くことで先行期が形成され、その動きに反応した人たちによって追随期の上昇が支えられ、普段は相場にさほど関心のなかった人たちまで追随して、利食い期の高騰が演出されます。しかし、先行していた人たちがその影で利益確定を進めていくことから、やがては反落局面が待ち受けています。

④の「価格は相互に確認されなければならない」については、すぐにはピンとこないかもしれません。たとえば株式市場で言えば、工業株の平均株価と鉄道株の平均株価には相関性がある(工業が活発化すれば鉄道輸送も繁忙になる)ので、両者の株価がともに右肩上がりを描いているのを確認することで上昇トレンドとみなすという考え方です。

FXで言えば、米ドル/円で米ドル髙・円安が進んでいる一方、日米金利差も拡大傾向を示していることによって、米ドルの上昇トレンドを確認するといった推察を行います。

⑤の「トレンドは出来高でも確認されなければならない」を逆から捉えれば、「上昇していても取引量が増えていなければすぐに失速する」といった意味合いになります。相場の方向性が明確になっている局面では、必ず取引量の拡大が伴われているということです。

⑥の「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」については、「ダウ理論」においてトレンドを判定する際の定義について説明しておく必要があるでしょう。同理論では、「高値と安値がともに切り上げている状態」のことを上昇トレンド、「高値と安値がともに切り下げている状態」のことを下降トレンドと位置づけています。言い換えれば、高値と安値の切り上げや高値と安値の切り下げが途絶えることがトレンド転換のシグナルとなってくるわけです。

これらの6原則を前提として今後の相場展開を予想していくのが、「ダウ理論」によるテクニカル分析手法です。次では、具体的な活用方法について紹介していきましょう。

「ダウ理論」の使い方とトレード手法とは?

「ダウ理論」に基づいたトレード手法で最も実践しやすいのは、⑥の「トレンドは明確な転換シグナルが出るまで継続する」という原則に沿ったものでしょう。たとえば、高値と安値を切り下げていくという「下降トレンドが転換する」シグナルが点灯した時点で買いを入れる(エントリーする)というのがその一例です。

直近の安値よりも手前で反発に転じ、さらに直近の高値を超える水準まで達したら、上昇トレンドに転換した可能性が高いと判断するわけです。見込み通りで上昇基調が顕著になればそのままポジションを保有し、反発が一過性の現象にとどまれば損切りを行います。

また、「ダウ理論」では横ばいトレンドのことを「ライン」と呼んでおり、もっと長い時間軸のトレンドの中において先行期と利食い期に発生しやすいと捉えています。横ばいを続けているのは、売りと買いが拮抗して方向感が定まらないからです。

やがていずれかが優勢になってくると、上下のどちらかへとトレンドが発生します。したがって、横ばいから上放れした地点が買い、下放れした地点が売りのエントリーポイントとなってきます。

さらに、チャート上に水平線を引いてトレンドの転換を見定めるという手法もよく用いられています。水平線とは、ほぼ同水準に位置する高値同士、安値同士を直線で結んだものです。

高値同士を結んだものはレジスタンスライン(上値抵抗線)、安値同士を結んだものはサポートライン(下値支持線)として機能しがちです。つまり、レジスタンスライン付近で反落したり、サポートライン付近で反発したりする可能性が高く、その動きが確認された段階で速やかにエントリーするという方法が考えられます。

もちろん、レジスタンスラインを突破したり、サポートラインを割り込んだりする展開も見られます。レジスタンスラインを突破して一段上の上昇を遂げた場合には、それまでのレジスタンスラインがサポートラインとして機能しやすくなります。

サポートラインを割り込んで一段下の水準で相場が推移するようになった場合には、それまでのサポートラインがレジスタンスラインの役割を果たすようになりがちです。

「ダウ理論」に基づいてトレードを行う際の注意点とは?

「ダウ理論」は100年をはるかに超えて世界中の投資家から支持されているものの、その考え方に基づいて取引しているのになかなか勝てない、エントリーポイントを見誤ってしまうといった不満の声がトレーダーの間から漏れ聞こえているのも確かです。様々な原因が考えられますが、その中には解釈が少々乱暴であるケースも見受けられます。

先述したように、高値と安値の切り上げ(切り下げ)が途絶えることはトレンド転換の重要なシグナルと位置づけられていますが、上昇トレンドが終わると下降トレンド、下降トレンドが終わると上昇トレンドに転じると決めつけてしまうのは早計なのです。たとえば、下降トレンドからいったん横ばいトレンド(ライン)に移行し、その後に上昇トレンドが顕在化するというパターンが珍しくありません。

長い時間軸のトレンドの中で先行期と利食い期に横ばいトレンド(ライン)が発生しやすいと先に述べましたが、まさにそのパターンだと言えるでしょう。したがって、「下落が止まれば次は上昇トレンド入りだ」と決め打ちせず、その後の情勢に応じてポジションの継続や損切りを検討するのが基本です。

加えて、これはあらゆるテクニカル分析に共通していることですが、特定の理論や指標だけで判断するのは好ましくありません。いずれも100%の確率で必ずそうなると断言できるものではなく、“だまし”と呼ばれるイレギュラーな現象も発生しがちです。

「ダウ理論」のみで勝負するのではなく、その考え方をベースに異なるアプローチのテクニカル指標も併用して多角的に判断するのが理想形です。

まとめ

19世紀後半にチャールズ・ダウ氏が解明した「ダウ理論」は今なお世界の投資家から高い支持を獲得しています。同理論をもとにエントリーや利益確定、損切りなどの判断を行えるので、その基本原則などを理解して、自分自身のトレードに活用しましょう。

ただし、あらゆるテクニカル分析では例外的な現象も発生するので、「ダウ理論」だけを鵜呑みにせず、他の手法も活用して総合的に判断するのが定石です。